夕方頃、予約をしておいた旅館に到着した。
宿での夕食は断っていたため、自分で適当な店を探すつもりだったが、チェックインの際に近辺の飲食店をまとめたリストをいただいたので、ありがたく活用させていただくことにした。
リストによればその日オープンしていた店は3件あったが、ネットでの評判や入口から覗き見た際の雰囲気で「海の食堂 KAN」に決めた。
先に言ってしまうと、「KAN」では非常に良い思いをさせてもらった。
まず店の入口をくぐったときの雰囲気が良かった。明るく清潔で、落ち着いていながら活気を感じる。この時点で普段なら飲まないアルコールを注文してみようか、という気持ちになった。
メインとして注文したのはカキフライ定食。大ぶりのカキが5つも並び、外はサクリと中はジューシーに揚がっている。新鮮なためかエグみも感じない。強いて言えばタルタルソースがもう少したくさん添えられていると良かった。
アルコールは「温泉津エール」を注文した。米と柚子を副原料としており、まろやかでフルーティな、桃を思わせるようま香りが印象的だった。カキフライの香ばしさと揚げ油の程よいコクとよく合っていたように思う。その日は品切れしていたが、「はるかなう」も気になった。
さらにおでんを3種、大根、赤天、魚のすり身揚げを注文した。大根は外せない。赤天は唐辛子入りの練り物で、じんわりとした辛味に体が温まった。魚のすり身揚げももちろん美味しかったが、赤天とキャラがダブってしまった。これは私の組み立てミス。満腹になった。
外で食べることにしたのは宿で夕食を準備してもらうと高くつくと思ったからだったのだが、結局それと同じくらいの金額になってしまった。だが、これほど満ち足りた気持ちを得られたので後悔は全くないし、旅先でまた来ようと思える店に出会えたことは、それ以上に喜ばしい収穫であった。