指宿枕崎線に乗って終点の枕崎駅までやってきた。
本当ならば、枕崎を目指すなら鉄道を利用するのは効率が悪い。
指宿枕崎線は薩摩半島の東と南の縁を沿うように進むため、遠回りをしているのがその原因だ。
今回は鹿児島中央~指宿間を特急『指宿のたまて箱』で、続く指宿~枕崎間を普通列車で乗り継いだが、乗り換え待ち時間を含めると合計で3時間以上は掛かった。
乗り換え検索をすると、鉄道ではなくバスを利用せよ、と結果が出る。内陸を突っ切ったほうが遥かに早いのだ。
ところで、枕崎を目指すなら、これらの手段とは比べ物にほど早く着ける移動手段があることを私は知っている。
その方法を説明しよう。
この方法を実行するには枕崎に実際に行ったことがあり、その記憶を有している人物が必要である。(仮にYさんとしよう。)移動しようとする人はYさんと手を繋ぎ、目を瞑る。Yさんは枕崎の風景を思い浮かべる。まぶたの裏は次第にぼんやりとした光に満たされていく。……気がつけば、一行はいつの間にか建物の中から海辺に移動している。Yさんは枕崎の知り合いに声をかけられたことで、ここが枕崎の浜であることに気づく……。
枕崎に移動するための手法としては、これがおそらく最速であろう。
この手法が実践された事例は、著名な漫画作品『美味しんぼ』に収録されている。屈指のネタ回としてクラスタ内では有名だ。
ちなみにこのワープは、同席していたエスパーの超能力で成されたものであって、ゆえに不自然な要素は一切ない。だってそういう能力だから。したがって、ネタ扱いするのは全くの的外れと言っても過言ではない。
一方で私はというと、『いぶたま』に乗りたかったのと、西大山駅にも行きたかったので鉄道の利用を選択したのだった。
今後、再び枕崎を訪れる機会があれば、ワープによる移動も是非検討したいと思う。