山陰方面に出かけると、家々の瓦が朱や茶の色をしているのに気づく。
石州(石見国)名産の石州瓦だ。三州瓦 (愛知県)、 淡路瓦 (兵庫県)と並んで日本三大瓦に数えられることもある。
特有の色をもたらしているのは来待(きまち)という釉薬で、同じ名前の来待石から作られる。来待石に含まれる鉄分がこの色を生み出すようだ。
石州瓦の特徴は色の他に、硬さと耐寒性が挙げられる。これらの特性は通常の焼きものより高い1300℃の高温で焼き上げることにより得られる。そして高温での焼成が可能なのもまた、来待石の耐火性によるものなのだ。
石州瓦はその耐寒性により寒い地域で好んで活用され、北前船によって北陸や北海道に運ばれることもあった。注意深く探せば、これらの地域でも赤い瓦屋根を見つけることができるだろう。