#7. チェーン店で感じるその土地の「らしさ」|博多屋台ラーメン一幸舎

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博多埠頭から博多駅までは、普通ならバスなりを使うところ、40分ほど掛けて歩いて帰ってきた。

旅行先ではいつも、その土地のことをよりよく知るために、時間と体力の許す限り歩いて移動することにしている。だが、今回はやり過ぎだったかもしれない。もう14時過ぎだ。

腹が減った。去年博多に来た時も、そして今回も、結局ラーメンを食べていない。今こそラーメンだ。

僕は博多駅の地下に向かい、飲食店街「博多1番街」にたどり着いた。ラーメン店を見つけて入る。「博多屋台ラーメン一幸舎」と言う店だ。一見してチェーン店と分かる店構えをしている。

なぜそんなところに、せっかくなのだからもっとローカル色の強い店に行かなくてもいいのか、と思われるかもしれない。

でもこれでよい。僕にとって旅は冒険だ。だからその分、食事ではホッとしたいのだ。井之頭五郎風に言えば”救われてなきゃあ”いけないし、芹沢達也的に言えば”既知への安堵”を求めている。

その点、僕にとって駅周辺の明るい店というのは、危険を犯すことなくその土地の名物にアクセスできる、いわばオアシスのような存在なのだ。

そもそも、旅行先でチェーン店に入ってはいけないという理由はどこにもない。かつて北海道に行ったときはセイコーマートに率先して利用したし、大分ではジョイフルで食事をした。

調べてみたところ、「一幸舎」は2004年創業とのことだ。すると、もう20年も続いているわけで、なかなかどうして侮れない。地域にしっかりと根ざしたローカルチェーンでとも言え、そこで食事をすることは、もう立派な観光と言えるのではないか。

僕は豚骨ラーメンと博多めんたい飯のセットを注文した。麺の固さを聞かれたので、メニューの説明を見て答えた。初心者にはこれくらいの雰囲気がちょうどよい。

しばらくして出てきたのは、実にベーシックな豚骨ラーメンだった。白濁したスープに、低加水の細麺が泳ぎ、チャーシュー、ネギそしてキクラゲの具が乗る。卓上には甘酢漬けの生姜が配置されており、それを好みで加えて食べる。

スープに臭みはなく、クリーミーで、ほどよい濃厚さだ。麺はザックリとした歯ざわりが心地よい。強烈な個性こそないが、「博多ラーメンとはこんなものですよ」というポイントを押さえた、手堅いおいしいさだった。

博多めんたい飯は、要するに明太子丼だ。こちらは食事体験に「らしさ」を上乗せする役割を全うしてくれた。

できれば替え玉もしたかったが、もう既に満腹だった。さすがに五郎ほど向こう見ずにはなれず、そのまま会計をして店を出た。

僕は心地よい満腹感と満足感を感じながら、新幹線で帰途についた。

豚骨ラーメン_めんたい飯セット_一幸舎博多一番街店にて_2406福岡