来待石が作る景観|来待と南房総との共通点

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来待石の灯籠

今回の山陰旅行は石州瓦に興味を持ったことがそもそものきっかけであった。石州瓦は山陰地方の屋根瓦によく用いられており、その朱~茶色が特有の景観を醸し出している。

石州瓦の色の由来は、来待石という岩石で作る釉薬にある。来待石は島根県の来待などで産出する凝灰質砂岩という種類の岩石だ。砂と火山灰が混じっでできた堆積岩である。来待石が豊富に産出し利用されてきた歴史と、三瓶山(島根県)、大山(鳥取県)という火山の分布と無関係ではなかろうと思う。

来待石は前述の石州瓦の釉薬に使われる他、石灯籠や狛犬にも利用される。どちらかと言えばこちらがメインの用途かもしれない。ユニークなところでは如泥石(じょでいいし)がある。今で言う消波ブロックだ。宍道湖で使われている。江戸時代からあるそうだ。

来待石の狛犬

今回、来待石について詳しく知りたいと思い、JR来待駅が最寄りの『モニュメント・ミュージアム 来待ストーン』を訪れた。石の切り出しから細かな加工、そして石灯籠の完成までを収録したムービーが特に印象的だった。

ミュージアムは周囲を本物の来待石の層に囲まれた場所にあり、実際に石が切り出された跡も見学できる。千葉県の鋸山の景観よく似ていると思ったが、案の定こちらも凝灰質砂岩であった。

そう言えばJR線で松江駅から来待駅まで移動する際にいくつか短いトンネルを通ったが、これも南房総で経験したことがある。比較的柔らかい凝灰質砂岩をくり抜いたトンネルであろう。

島根県と千葉県、遠く離れた2つの地点の共通点を見出せたことを嬉しく思った。

来待石を切り出した跡