大社駅は1912年(明治45)に開業した大社線の終着駅だ。大社線は出雲今市駅(現在の出雲市駅)と大社駅を結んでいた路線で、その名の通り出雲大社へのアクセスを担った。当路線は1990年(平成2年)に廃止となり、それに伴って大社駅も廃駅となったが、その建築の価値を認められ、現在は旧大社駅として保存されている。
今回は出雲大社参拝のついでにこの旧大社駅を訪れてみた。ついでと言いながら結構楽しみにしていた。書いていて思ったが、本来ならば出雲大社に行くために大社駅を利用するのであって、大社駅を楽しみに出雲大社に参拝するというのはあべこべな感じがして面白い。
ところが、たどり着いてみると旧大社駅は解体修理のために工事中であった。少しは覗けないかと思ったのだが、周囲は工事用のシートに隙間なく覆われていて、その威容の一端を垣間見ることも叶わなかった。
「まあ、もともとメインの目的ではなかったし」と自分に言い聞かせながらSLを撮影していると、背後から「マニアですね~」と知らない関西弁のおじさんに声を掛けられた。確かに観光地としては少々マイナーかもしれない。「いやあそれほどでもないですよ」と思いながら苦笑いを返した。
次回訪れるときは完璧にリニューアルされた姿を拝見できればと思う。それまでぜひ時間を掛けて修理していたければ幸いだ。