津和野の街を訪れた際に印象的だったのが朱の色彩だ。
メインの通りに入るとまず赤〜茶色の屋根瓦が目につく。石州瓦と言って、石見国特産で耐寒性に優れたものだ。この色を見ると山陰に来たという感じがする。
本町通りを抜けると殿町通りに入る。江戸時代の城下町の雰囲気をよく残しているエリアだ。水路には立派なサイズの錦鯉が泳いでいる。漆喰の壁の白さとの対比が鮮やかだ。
さらに進み、殿町通りを抜けると太鼓谷稲成神社の鳥居が見えてくる。ちょうどそこで、山口線の列車が通りかかった。正確には分からないが、キハ40形の仲間であろうかと思う。車体の濃いオレンジ色も、津和野を彩る要素として数えて良いだろう。
鳥居をくぐり、太鼓谷稲成神社の参道に入る。そこで視界に現れるのが夥しい数の赤鳥居だ。大量の鳥居といえば山口県の元乃隅神社が有名だが、山陰の文化なのだろうか。薄暗く、先の見通せない急な石段とあいまって少しの不気味さもある。
参道をある程度登ると眺望が開け、津和野の町並みが見下ろせる。小さく見える屋根は、やはり石州瓦の朱色だ。地元でなくても懐かしさを感じる景色に、なんとなくホッとした。