#1. 大橋の「青山」でネクタイを買う|2406福岡

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友人の結婚披露宴に参列するため、九州・福岡を訪れた。

結婚式の男性の服装といえば、しかし、恥ずかしいことに、未だにそれを持っていなかった。せっかくの機会なので、現地で調達することにし、早めに福岡入りした。

新幹線で博多駅に到着し、西鉄天神大牟田線に乗り換えて大橋駅へ向かった。大橋は博多へのアクセスと買い物環境が良く、住みやすいベッドタウンとして知らる街だ。駅から徒歩圏内に「洋服の青山」があるのを事前の調べで確認していた。そこでネクタイを買うのだ。

博多駅_2406福岡
博多駅

もちろん博多でもネクタイは買える。大橋に行くことにしたのは宿をそこに取ったからだ。ネクタイを買うついでに、ホテルに寄って荷物を預かってもらい、身軽な状態で結婚式に向かおうと思ったのだ。この行動は不合理で非効率のように思えるだろう。普通、荷物は結婚式場のクロークなりに預ければ事足りるからだ。にも関わらず、なぜわざわざ大橋まで移動するのかと言えば、まあ暇だったのだ。

大橋という場所の存在は、今回泊まるホテルを探している際に知った。ここに決めたのは博多駅近くに取るより安いだろうと思ったのと、なんとなく行ってみたかったからだ。モチベーションとしては後者のほうが遥かに重要で、実際にホテル代が安くなったかどうかは知らないし、もはや問題ではない。

ネクタイは予定通り買うことができた。
「今日結婚式に出席されるのですか?」
ネクタイ売り場を案内してくれた男性店員が、気さくに話しかけてきた。
「ええ、今日は神戸から来たんです」
そんなことを答えた気がする。

感じの良い人で、話しているうち、銀のポケットチーフも購入してしまっていた。僕自身、予定外の買い物をかなり毛嫌いする質なのだが、このときは不思議とそう思わなかった。友人の結婚を祝いたいという気持ちが、そうさせたのかもしれない。

その後再び電車に乗り、結婚式会場の最寄り駅に移動した。まだ開場までは時間があったので、適当に昼食を取ることにした。カフェで時間を潰すのが一番良かったのだが、あれこれ考えた挙げ句、前に福岡に来たときと同じく、うどんにしてしまった。気安いものが落ち着くのだ。胃袋も気持ちも。

ただ、うどん屋に長々と居座るわけにもいかない。食べ終えた後はそそくさと店を出た。結局ホテルには早く着きすぎ、時間を持て余すことになった。

開場を待つ間、ホテルのロビーで時間を潰すことになった。他の来賓の姿はまだ見当たらない。ずいぶん待った気がする。「本当にここに居れば良いのだろうか」そんな不安が頭をもたげた。だが、ほどなくして自分と同じく招待された友人が僕を見つけてくれた。僕はようやく人心地つくことができたのだった。