#18. 特急「ひのとり」のざわめきと葛藤|函館~名古屋~難波

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楽しい時間は早く過ぎ去るもので、3泊4日の行程は、あっという間に最終日となり、帰宅の時を迎えた。

大学の同期たちは皆それぞれ居住地が違うため、帰宅方法も様々だ。私は関西方面に帰る。

今回の旅行では、どのようなルートで帰るかということについてもそれなりに頭を悩ませた。とりあえず、行きと帰りで異なるルートにしたいと思っていた。これは一部の旅行趣味層にとっての人情というものだ。

色々調べた末に、函館空港から中部国際空港へ、そしてそこから鉄道で帰るというルートを見出した。

前の記事で述べたように、函館⇔関西の空路にはなかなか安い便がない。だが、函館⇔名古屋にはAirDoが飛んでいるので、安く済ませることができ、非常にありがたい点だ。

名古屋からは近鉄特急に乗る。この路線(名古屋線~大阪線)は乗り通したことがなかったし、特急「ひのとり」に乗るというのも魅力的だ。特急で優雅に寛ぎながらの移動というのは、旅の締めくくりとして良い過ごし方のように思える。

…果たして、搭乗した飛行機は問題なく運行され、初めて降り立った中部国際空港から名鉄への乗り継ぎもつつがなくこなした。徒歩で近鉄名古屋駅に向かい、「ひのとり」に乗り込んだ。

特急ひのとりに乗る_2310函館

1つだけ誤算があった。それは「ひのとり」が想像以上に混んでいたことだ。混雑による車内のざわつきのために落ち着くことができず、当初のイメージからはかけ離れた乗車体験となった。

名古屋~大阪間の交通手段としては東海道新幹線という強力な競合相手が存在しているだけに、一私鉄である近鉄の路線が繁盛しているのは素晴らしい健闘であり、喜ばしいことだとは思う。

しかし、そういったことを度外視した個人の感想としては、旅の疲れもあってか、少々、いや正直言ってかなり辟易とした。

なんだか旅の最後の最後でケチがついてしまったようで、残念な気分になりかけた。…だが、僕はすぐさまそれを否定しようとした。年に一度の同期との旅の思い出は、美しいまま胸に残しておきたいと思ったからだ。

そんな葛藤を抱えながら、僕は眠りに落ちた。

「ひのとり」は、そんなことは関係なく、日の暮れ落ちた山の中を、目的地に向かって驀進していた。