#19. 指宿枕崎線にて。ローカル線で自覚する「おかしみ」-2308九州

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指宿枕崎線にて

ここまで乗ってきた特急「指宿のたまて箱」は指宿駅が終点だ。とても楽しい乗車体験だった。僕自身の旅はまだ続く。ここからは引き続き指宿枕崎線に乗り、さらに南へ進もう。

指宿駅では接続待ちでしばらく待ったが、程なくして列車がホームに入ってきた。非常に古い車両で、まさにベテランと言った趣だ。詳しくないので間違っているかもしれないが、キハ40形(か、その仲間)のようだ。

車内へ入る。内装も外観と同様に古い。当然ながら、先程まで乗っていた『いぶたま』のような装飾は施されていない。初めて乗る車両ではあるが、どこかで見たことのありそうな、ありふれた意匠だ。座席は色褪せて埃っぽくなっており、長年利用されてきたことを感じさせる。

旅先でこのような「住民の足」とも言うべき路線を利用するとき、大げさに言えば私は異分子となる。

土着の色濃い空間に身を置くことになった私は、自身が異国からやってきたことをカモフラージュしようとする。自分の匂いを消し、存在を周囲に溶け込ませる。

しかし結局、土地の空気に完全には馴染みきれない。そこには必ず違和感が生じてしまう。完成された後、誰かが登場人物を書き加えた絵画のように。

もちろん、旅行者がローカル線に乗っては行けないルールはないし、そこで多少浮いた存在になったとして、(おそらく)誰に迷惑をかけることもない。

だが、それが分かっていても、少しだけ申し訳ない気持ちになってしまう。

そして同時に、このような状況に対して、私はある種の「おかしみ」を感じてもいる。