#20. 西大山と枕崎、2つの「果て」の地へ-2308九州

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引き続き、指宿枕崎線に乗って南へ向かう。本路線には2つのクライマックスがある。

JR最南端の駅・西大山

列車はやがて西大山駅へ到着した。

約4000あるJRの駅の中で最南端に位置することで知られている。ここが1つ目のクライマックスだ。

有名な駅ということもあってか、停車時間が長く設けられている。写真撮影などができるようにということだろう。私もその配慮にあずる。

「JR日本最南端の駅」の案内板、ここまで乗ってきた車両、そしてこのあたりのシンボルである開聞岳を構図に入れて撮影してみた。

あいにくながら雲が大きくかかっており、開聞岳の円錐形の姿を収めることはできなかった。それでも雲の端から除いた裾野に、薩摩富士とも呼ばれる美しさを垣間見ることができた。

西大山駅と開聞岳

指宿枕崎線の終点・枕崎駅

再び車両に乗り、終点の枕崎駅に到着した。ここが2つめのクライマックスである。

指宿枕崎線はずっと南に向かうわけではなく、西大山駅以降やや北を向きながら西進する。そのため、終点の枕崎駅は最南端の駅にはならない。

それでも、枕崎駅は最南端を走るJR前線の中で最も南を走る指宿枕崎線の終点であり、その意味では間違いなく最果ての駅である。

枕崎駅にて

行ったことのない場所は増える

北の端はどこになるのかというと、北海道の稚内駅だ。この駅は宗谷本線の終点であり、日本最北の駅になる。

ついでながらJR線では、最東端の駅は同じく北海道・根室本線の東根室駅、最西端は長崎県・佐世保線の佐世保駅となる。

これらの駅にはまだ行ったことがない。そう遠くないうちに訪れたいと、このとき思った。というより、思い出した。

「日本の東西南北の端を制覇する」というのは、全ての都道府県に行ってみたいと思いついた人のほとんどがはじめに着想する目標だと思う。

しかしながら私は、47都道府県にすべて訪れた今なお、この目標は達成できていない。

旅行をするという行為には色々な目標があって(あるいは無くて)良い。また、実際に旅をする事によってその目標は新たに生み出され、更新され、全く別のものに変容することもある。

それ故に、「日本の東西南北の端を制覇」という種の初心は、旅を繰り返し、慣れていくにつれ、忘れて去られてしまいがちなのではないか。私の場合はそうであったようだ。

今回、東西南北のうちの1つをクリアしたことで、行きたい場所が3つ、浮かび上がってきた。新たに、というよりは再びだ。

もしも今回のことがなければ、3つの場所は忘れ去られたまま、意識の上に立ち上がってくることはなかっただろう。

新たな土地を訪れることで、行ったことのない土地は増えていく、そんなこともあるのだ。