前玉神社を参拝した後、埼玉古墳群へと足を運んだ。
古墳のあるエリアは建物がなく、植栽も一部の範囲に限られている。そのため、草原がのっぺりとした地形が広がっていおり、そして時折こんもりとした小高い丘が点在している。これらが古墳である。その中には歴史の教科書で有名な稲荷山古墳も、あっけなく見つけることができる。古墳のてっぺんには樹木が植えられている。
意外だったのは、訪れている人の多さだ。5月の連休中ということもあるだろうが、普段から憩いの場として、多くの地域の人々に親しまれているのだろう。人が多いと言っても、何しろ広いので、まったく窮屈さを感じない。ただひたすらのんびりとした時間が流れているようだ。家族連れの幸福そうな様子を、いくつも目にすることができた。
古墳には登ることができる。階段は少々急だが、そう労せずして登り切ることができた。周囲には建物がないので、とても見晴らしが良い。僕はそこで、昨晩泊まったホテルや、これから行くつもりの忍城、今回の旅では行くことができなかった施設などを探した。
行田に来てからというもの、心が自然とほころぶような気がしている。それは、秩父や長瀞に比べると人が少なくて、落ち着いて見て回れることもあるだろうけど、行田の素朴で土着的魅力がそうさせるのだろう。そんなことを、街を眺めながら考えていた。