腹ごしらえも済んだので、青森駅周辺を見て回ろうと思う。
行きたいところがあった。青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸だ。
八甲田丸はかつて青函連絡船、つまり青森と函館の往来を担う船として活躍した船だ。
1988年に青函トンネルが開通し、その役目を終えるまで、人と物資の運搬を担い続けた。
八甲田丸は、就航当時の状態で港に係留保存されており、その内部を見学することができる。
だが実は、僕が一番見たかったものは八甲田丸の内部ではなく、外側にある。
それは船尾に続くように伸びる線路だ。
八甲田丸は、鉄道車両(主に貨物車両)を搭載できる構造を備えていることが大きな特徴だ。
青森駅まで引っ張ってきた貨車を、この線路を通じて、直接船内にに積み込むことができたのだ。
当たり前の話だが、レールを海上に敷くことは出来ず、レールがなければ鉄道車両は走れない。
だが、八甲田丸をはじめとする鉄道連絡船によって鉄道は海を越えることができるようになった。
ここに僕はロマンを感じるのだ。
目当てのものを見られたので、割と満足していたが、せっかくなので内部も見学する。
結果的にはこちらも非常に良かった。
印象に残っているのはエンジンルームだ。
機構がどうとかはさっぱり分かる気がしないが、重厚で複雑、そして巨大な機械群は、見るだけで圧倒された。
そしてクライマックスとも言えるのが、車両甲板だ。
先に述べた、鉄道車両を積み込むためのスペースである。
普段見ることのできない珍しい車両が、仄暗いメカニカルな空間に並ぶ姿は迫力があり、圧巻の眺めだった。