#8. 青い海公園を訪れた人全員が思うこと

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昨晩泊まった宿の居心地の良さに、この日の予定は完全に狂ってしまった。

開き直って、のんびりと青森駅周辺を散策することにする。

宿から歩くこと約15分。ひとまず青い海公園に来てみた。陸奥湾に面した憩いの場だ。

昨日はひどく天気が荒れていたが、今日はありがたいことによく晴れている。吹き抜ける風は程よく冷たく、歩いていて気持ちが良い。

青い海公園にて_2310青森

公園のほど近くには青森観光物産館アスパムという施設がある。

そびえ立つ三角形の姿が遠目にも目を引く存在で、青森のランドマークのひとつだ。展望台もあるということで中に入ってみた。

展望台は地上51mで、周囲360度を見渡せるのがウリだ。昨日訪れた八甲田丸や、青森ベイブリッジもよく見える。

アスパムからの眺め_2310青森

見晴らしの良いところでは、風景を眺めながら、知っている地名と照らし合わせるのが楽しいものだ。

このときも、「あそこに見えるのが下北半島とすると、その奥に霞んでいるのは北海道だろうか…」と考えていた。だが、地図と見比べなどするうち、どうも違うらしいことがと分かってきた。

下北半島だと思ったのは、そのずっと手前の夏泊半島で、北海道だと思ったのが下北半島だったのだ。

なんとも間抜けな勘違いをしていたことに、思わず自嘲の苦笑いを浮かべた。しかし同時に、下北半島のスケールがありありと感じられ、新鮮な驚きを覚えたことも事実だ。

北海道は、少し別な方角に見られた。津軽半島と下北半島のわずかな隙間の奥に、本来なら雄大である姿の、ほんの一端をちょこんとのぞかせていた。

聞くところによれば、北海道は天候に恵まれなければ見られないそうだ。このときは運が良かったようだ。

僕はアスパムから出て、再びぶらぶらと歩き始めた。

海を眺める観光客らの会話が風に乗って耳に入ってきた。

「あれは北海道かなあ」

声の方向を見やると、彼ら視線の先は案の定、下北半島だった。

ここを訪れた人々は皆、同じ勘違いをするようだ。

青森観光物産館アスパム_2310青森