#8. 谷川のせせらぎ、ヤブツバキの落花|能勢妙見山にて

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山頂での散策とスナップを終えたので、下山する。

以前の記事でも触れたことがあるが、行きと帰りではできる限り別のルートを取るようにしている。少しでもいろいろな景色に見てみたいし、いろいろな道を歩きたいのだ。

登りは尾根線を歩く眺望の良いルートを選んだ。そこで、下りは谷筋を行くルートにした。

広々とした眺望は得られないが、谷には谷ならではの良さがある。新たな景色との出会いを楽しみにしながら、僕は歩き始めた。

谷筋は陽の光が当たりにくく、昼間でも薄暗い。空気は湿り気を帯びている。土の色は深く、生育する植物の種類も尾根とは全く異なる。

谷川も流れていた。その姿は美しく、コロコロとせせらぐ音は、神秘的だ。

それらすべてを眼や耳や鼻や肌に感じながら、僕は歩いた。山歩きで一番好きな時間だ。

谷川のせせらぎ_2404能勢妙見山

道中、時期を過ぎて、地面に落ちたヤブツバキの花を見つけた。落ちてなお艶やかな赤を放っている。その色は暗い色の土に映え、花弁の傷みと共に、退廃的な魅力を漂わせていた。

ヤブツバキの落花_2404能勢妙見山